昭和天皇の終戦史

昭和天皇の終戦史 (岩波新書)

昭和天皇の終戦史 (岩波新書)

昭和天皇と、宮中グループ(天皇側近者たち)の戦後における国体護持・天皇制維持のための思想・行動を読み解く。
天皇や宮中グループは「穏健派」としてイメージされてきた。穏健派とは「軍部の強硬派とは一定の対立関係にあり、太平洋戦争の開戦には反対ないし消極的な姿勢をとったグループ、あるいは太平洋戦争のある段階で戦争に見切りをつけ軍部の徹底抗戦派と対立関係に入ったグループ」である。
そしてこのグループは満州事変や日中戦争における自らの戦争責任を曖昧にしつつ、東京裁判に積極的に協力することによって、15年戦争のすべての責任を陸軍を中心とした軍部におしつけ、国体=天皇制を護持することに成功した。
また、天皇制護持が成功した大きな要因として冷戦という国際環境によるところが大きいとしている。