大学院進学は是が非か

高学歴ワーキングプア  「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)

高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)

2年前の本ではあるが、現状は当時と大きな差異はないだろう。
気になる内容だったので、2時間強ですっとばして読んでしまった。


高学歴ワーキングプアの主な原因は文科省の大学院重点政策から始まっているとしている。
院生のみを増やし、その分のポスト、あるいは職は用意ししない。
その結果、博士クラスのワーキングプアを生産し続けてしまっている。その被害を最も被っているのが、地方の中小私立大学の博士。
特に所謂「2流の大学」から「2流の大学院」へ進学した者は、研究職への道は閉ざされてしまっているといってもよいと述べている。


就職という面でみると、大学院への進学はデメリットが多い。しかし、別の面ではメリットもある。それは、情報収集能力、客観的視点、コミュニケーション能力等様々あるという。


しかし、やはり問題点の方があまりにも多すぎるということは否めないだろう。博士後期課程への進学率が下がってきているというデータからもそれは窺える。


博士クラスのワーキングプアの現実としての生活を何人か紹介してるが、とても魅力的なものとは思えない。
確かに、「専任」への魅力はとても大きいが、それと比較してその道程、努力は釣り合うものか…


この構造的な問題に対して、高学歴ワーキングプアになってしまった人に対し、「この年になってまだそんなことをしているのか」、「自分で選んだ道なんだから」という自己責任論的批判はあまりにも厳しすぎる。そして、博士クラスの人間が研究機関のみならず、一般にも必要とされる社会を構築する必要があるだろう。