オバマ大統領

彼が大統領になることで何が変わるのか。
「黒人初の合衆国大統領」の誕生であるが、重要なのは彼がどう、
何をCHANGEするか。その視点を持たなければいけないだろう。


戦争報道 (ちくま新書)

戦争報道 (ちくま新書)

「ジャーナリストがその最も優れた資質を発揮できる舞台が戦争の悲惨であるとすれば、

ジャーナリストの人間としての存在はどのような意味を持つのか」

本書の”はじめに”で一番最初に引用されているアメリカのジャーナリスト、

デイビット・ハルバースタムの引用である。

戦争報道こそが視聴者、読者から求められる。

戦争報道を強く求められるジャーナリストとは如何なるものなのか。



本書は第二次大戦、ベトナム戦争湾岸戦争という3つの大きな戦争に寄せて

戦争報道、ジャーナリズムについて論じている。


第二次大戦では主に日本のジャーナリズムを。

ベトナム戦争ではハルバースタムを含む、戦争を「伝える」役割を担った人々を。

湾岸戦争では昨今のジャーナリズムとこれからのジャーナリズムについて。



ジャーナリズムは今まで作為的に、あるいは無作為的に戦争に加担してきた。

プロパガンダを運ぶ役割を担ってきたジャーナリズムは特定の価値観を増幅する役割を果たし、

異文化間の衝突を激しくすることに貢献してしまっていた。

ジャーナリズムの本来の形とは多価値観社を繋ぎ、文化の違いを認めながら共生の可能性を

探るものである。



「戦争がジャーナリズムを鍛える」というのは、著者自身が捉われていたジャーナリズムの常識であるという。

あとがきでもう一度ハルバースタムを引用する。

「真に目覚めた人間とは…たとえ世界の現実を知らないと批判されようとも、戦争に訴えることだけは

やめようとする人なのだ。」



本書で最も衝撃的だった部分は冒頭のハルバースタムの引用である。

ジャーナリストがその資質を最も発揮できる舞台は戦争であろうのだろうか。

その感は否めないし、著者もその点は肯定している。

では戦争で資質を発揮できる職業、人間とはどのようなものか。

まずは軍隊、兵士が挙げられるだろう。彼らはジャーナリストより強くその活躍の舞台を戦争に依存している。

従軍医師もある意味では同じ性質があるが、彼らは医師という面が強調される。

戦争を対象としてる研究者はどうなのだろうか。

過去の戦争、背景を踏まえ、現在の戦争の分析を行う研究者は

戦場に赴いてはいないが、少なからずともその資質を発揮できるだろう。

しかしより重要なのは、前提よりも後半である。

人間としての存在はどのような意味をもつのか。

ハルバースタムはそれを自問自答してたようである。

戦争に関わる人間であるならば、その自問を絶えず繰り返す必要があるのではないか。

そう感じた。